ライフ

80歳現役医師の願望「看護師の胸の谷間で死にたい」

帯津三敬病院名誉院長の帯津良一氏

 増加する高齢者の健康面をサポートするため、自身も高齢でありながら活躍する医師たちがいる。日本ホリスティック医学協会名誉会長として、患者の自然治癒力を生かす代替療法を研究している帯津三敬病院名誉院長の帯津良一氏(80)が現役の医師として精力的に働き続ける理由は、なんとも破天荒なものだった。

 * * *
 私には経営の才能がないので病院は若い院長に任せています。そのかわり、いまも月曜から金曜まで、患者さんをフルに診ています。そして土曜日は講演。働くのが好きなんです。晩酌は働いたほうが旨いですからね。貯金もあんまりないし、酒代を稼ぐために死ぬまで働くつもりです。

 だから足腰を弱らせないように、なるべくエスカレーターに乗らずに階段を歩く。脳梗塞を防ぐために血液をサラサラにするサプリメントを飲む。そういう努力はしています。お酒を飲むのも、私の身体には良い気がしますね(笑い)。

 医師を続ける上で認知症が最も怖いですが、認知症には“ならないつもり”なんですよ。色々なことに興味を持って、お酒もできるだけ人と一緒に飲んで話をする。そういう繋がりがしっかりしていて、知的な好奇心があれば大丈夫だろうと。それでもなっちゃったらしょうがない。

 自分もがんになったら弱ってしまう治療法は取りたくないから、患者さんにも抗がん剤は使いたくないし、手術もできれば避けたい。ホメオパシーや漢方薬、免疫療法など、代替療法でもまだ望みは持てますから。私は日本尊厳死協会に入っているので、自分も無駄な延命治療は受けたくない。

 妻は7年前、元気だったのに娘と旅行中にホテルの部屋でポンッと亡くなりました。心筋梗塞です。ピンピンコロリですけど、彼女はまだ60代だったから若すぎました。寂しい別れで、自分だけが長く生きてしまいました。

 夏目漱石は『野分』という小説で〈理想の大道を行き尽くして、途上に斃るる刹那に、わが過去を一瞥のうちに縮め得て初めて合點が行くのである〉と書いています。理想を追い求めて仕事に邁進して、倒れる時に我が過去が走馬灯のように浮かんで、「これでいいんだ」と思って死ぬ。これこそ理想の死に方ですよね。

 私の場合、行きつけの居酒屋さんの前で「よし、これから飲むぞ」といって、戸に手をかけたあたりでバタッて倒れるのがいいな。あるいは、病院の中で仕事をしている時。廊下で私が倒れそうになるところに、看護師さんが手をさしのべる。私はそのまま倒れかかって、看護師さんの胸の谷間に顔を埋めて死ぬ。こんな幸せありませんよね。

 残りの人生のタイムテーブルなんて考えてない。ドシドシ働いて、ドシドシ飲んで。アッハッハッ!

※週刊ポスト2017年1月27日号

トピックス

逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン