「瑞兆といっていい兆しがあった時や、逆に天変地異や災害が多い時にも、機運を改めるために改元されました。また、60年に1回くる干支で『辛酉』(かのととり)の年には大きな変革が起こりやすいとされていたので、辛酉の年にはほとんど改元されました。しかし辛酉にあたる1921(大正10)年は、天皇在位のまま皇太子を摂政にしたため、改元ができませんでした」(原さん)
『日本年号史大事典』の編著者で京都産業大学名誉教授の所功さんが例として挙げるのは今から1300年前の「養老」(717年~)だ。
「元正女帝は“若返りの水が出る”と聞いて岐阜西部の滝へ行き、湧き出る水を飲んで、実際に若返ったので、年号を『養老』に改元し、地名も養老になったのです」(所さん)
他にはこんなケースも。
「白い亀が献上された時に“縁起がいい“ということで改元されたことが6回あり、『神亀』(じんき)、『宝亀』(ほうき)などの元号がつけられました。“彗星”による改元も6回あります。彗星が来ると大変なことが起きるというので、改元したのです」(前出・鈴木さん)
白いキジや白い鹿が献上されたのを理由に、改元された例もあるという。
撮影/雑誌協会代表取材
※女性セブン2017年2月2日号