ただ、少し気になるのは、キャストが主役級ばかりな上にギャグもなく、観てる方も気が抜けないということだ。聞けば、木村は事前の準備も徹底的に行い、並々ならぬ熱意で撮影に臨んでいるという。主役が発する熱量だけでも相当なものなのに、竹内結子や松山ケンイチ、及川光博などが加わってぶつかり合い、主題歌もB’zのがウルトラ熱唱するとなると、一話ずつのカロリーが高すぎて、心がちっちゃい私はどこでどれくらい感動したらよいのやらと測りかねてしまった。
さらに気になるのが、浅野忠信の存在だ。病院の副院長役の浅野は白衣でもスーツでも厳しい顔。医療ミスだと訴えようとした家族には「一億でいかがですか」と作り笑顔で提案する一方で、「お前にはわからないものを背負っているんだ!」「手こずらせやがって」などとダークな顔を見せる。趣味は小さな魚を世話することらしく、自室の水槽にしばしば手を突っ込んでいる。その上、病院の顧問弁護士榊原(菜々緒)を愛人にしている!?
番組公式ホームページの「木村×浅野対談」を読むと、木村がタッドがテレビドラマに出演することをとても喜んでいることがわかる。(浅野忠信の愛称はタッドなんですね。ちなみに松山ケンイチはケンケン)。今後は、脳に腫瘍ができた深冬の手術問題も焦点になる。妻の手術を元カレの沖田に依頼する壮大。ますますストレスがたまって、水槽に手を突っ込む回数も増えそうだが、今のところ、家庭を大事にしているようにも見えるし、病院も大事にしているようにも見える。
演技が繊細な分、壮大が権力大好きダーク大魔王というくらいのパワーが感じられない。菜々緒のほうがよっぽど怖い顔をしているような…。浅野忠信は主演映画『私の男』などですごい存在感を漂わせているだけに、中途半端じゃもったいない。木村の王道セリフもそれをぶつける強烈な敵対勢力がいてこそのもの。カギはダーク浅野にある。