IR型のカジノは、24時間365日、その気になれば永遠にギャンブルに興じることができる。著書に『カジノ幻想』があり、カジノの脆弱性と過剰な社会的コストについて詳しい静岡大学・人文社会科学部経済学科教授の鳥畑与一さんは「ほかのギャンブルよりも危険」だと指摘する。
「例えばパチンコなら22時で閉まりますし、競馬や競輪もレース開催日が決まっています。でもカジノは時計も窓もない空間で、アルコールの提供もあり、望めばいつまででもギャンブルができる」
そうなれば、依存症が疑われる人の数はどこまで増えるか。しかも、ギャンブル依存症になっても当人はそれを認めず、周囲に隠す傾向にある。それは男性より女性のほうが顕著だ。
「アメリカで女性のギャンブラーには、逃避型ギャンブラーが多いといわれています。女性は社会生活の中で、子育てに家事、仕事やママ友などの人間関係、家庭内DVもあるでしょうし、シングルマザー家庭であれば生活苦もあります。そういった精神的負担による苦しみや寂しさから逃れて、自分を解放する場としてカジノを利用する女性が多いんです。
そして深刻なのは、女性が家計を任されることが多いので、生活費や貯金を使い込んでしまう。いまだ男女の役割分担が残っている国では、女性のギャンブル依存症は深刻な形で出ますが、日本もそうです。パチンコをするために炎天下の車に子供を残して、死亡させてしまった事件は後を絶ちません。すでに日本ではギャンブル依存症が問題になっているのに、さらに危険なカジノを導入する理由がぼくには見あたりません」(鳥畑さん)
ギャンブル依存症は決め手となる治療法はなく、物理的にギャンブルができる場所を遠ざけるしかない。片田さんはこんな不安を口にする。
「韓国ではすでにパチンコを廃止しましたが、そういったことも日本ではできていませんので、どんな街にでもパチンコ店はあります。そのうえカジノができたらどうなるのか…」
※女性セブン2017年2月9日号