潰瘍の範囲がかなり広い場合は、PRPだけでなく、ピンチグラフトといって、健常皮膚を小さく切ったものを種をまくように置くと、2年後にはほぼ上皮化したという症例もある。また、人工血管が露出した部分が細菌感染すると、治療してもなかなか皮膚が閉じないが、週1回のPRPとピンチグラフトの併用で、傷が閉じた例もある。

 同大学形成外科の菅谷文人主任医長に聞いた。

「PRPは、想像していたよりも、かなり効果がありました。PRPを塗布すると、まず皮膚の土台ができ、その上に上皮化するので、再発が少ないのも大きな特徴です。外来での治療が可能で採血量も少なく、低侵襲な治療なので全身状態がよくなかったり、高齢の患者さんでも安心して治療を受けられます」

 22症例に対してPRP治療を実施したところ、16症例が治癒し、6症例が不変か悪化という結果となった。不変と悪化は潰瘍の原因である静脈うっ滞がひどく、血管治療が必要だったり、脚の切断が必要なほどに皮膚壊死が進行しているといった症例であった。

 PRPには個人差があり、患者自身の血液を使うことがポイントである。治療費は自己負担分も含め、約10万円(施設により異なる)必要だ。

●取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2017年2月3日号

関連キーワード

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン