潰瘍の範囲がかなり広い場合は、PRPだけでなく、ピンチグラフトといって、健常皮膚を小さく切ったものを種をまくように置くと、2年後にはほぼ上皮化したという症例もある。また、人工血管が露出した部分が細菌感染すると、治療してもなかなか皮膚が閉じないが、週1回のPRPとピンチグラフトの併用で、傷が閉じた例もある。

 同大学形成外科の菅谷文人主任医長に聞いた。

「PRPは、想像していたよりも、かなり効果がありました。PRPを塗布すると、まず皮膚の土台ができ、その上に上皮化するので、再発が少ないのも大きな特徴です。外来での治療が可能で採血量も少なく、低侵襲な治療なので全身状態がよくなかったり、高齢の患者さんでも安心して治療を受けられます」

 22症例に対してPRP治療を実施したところ、16症例が治癒し、6症例が不変か悪化という結果となった。不変と悪化は潰瘍の原因である静脈うっ滞がひどく、血管治療が必要だったり、脚の切断が必要なほどに皮膚壊死が進行しているといった症例であった。

 PRPには個人差があり、患者自身の血液を使うことがポイントである。治療費は自己負担分も含め、約10万円(施設により異なる)必要だ。

●取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2017年2月3日号

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