住居の環境も違う。皇太子家が生活する「東宮御所」と秋篠宮邸はいずれも赤坂御用地内にあるが、東宮御所(居宅部分約870平方メートル。17部屋)は2008年に1年かけて大改修を行なったのに対し、旧秩父宮邸を受け継いだ秋篠宮邸は居宅部分約470平方メートル(8部屋)と倍近い差があり、改修が必要とされている。お世話をする宮内庁の職員は皇太子家の約70人に対し、秋篠宮家は約20人だ。
とくに問題視されているのは警備面の違いだ。皇室ジャーナリストの山下晋司氏が指摘する。
「皇太子ご一家が車で移動される際は、公か私で違いはありますが、公務の場合は白バイや警察車両が前後を固め、交通規制も敷かれます。しかし、秋篠宮ご一家の場合は公務であっても通常は後ろに警察車両が1台つくだけで、交通規制もありません。
そのため、昨年11月に悠仁親王殿下が乗った車が前方不注意で追突事故を起こして『将来の天皇が乗っているのに警備が不十分ではないか』と批判の声があがりました」
だが、天皇と秋篠宮にとって、経済的な面にも増して憂慮されるのは、将来、悠仁親王の代になったときの皇室の姿ではないか。
天皇は即位20年会見(2009年)で、皇族の数が減少して将来、皇位の安定的継承が難しくなる可能性があることを憂慮し、「将来の皇室の在り方については、皇太子とそれを支える秋篠宮の考えが尊重されることが重要と思います」と述べた。昨年8月の生前退位のお気持ち表明でも皇統の安定についての思いをこう語った。
「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました」
天皇が「皇室の安定」に言及するとき、念頭にあるのは皇太子と秋篠宮の世代だけでなく、悠仁親王が即位する時代の皇室の姿も含まれているのは間違いないだろう。悠仁親王の姉である秋篠宮家の眞子内親王(25)、佳子内親王(22)と皇太子家の愛子内親王(15)がいずれ結婚して皇族を離れれば、悠仁親王以外に皇族がいなくなる可能性すらある。