国際情報

胡錦濤前主席が1年半ぶりに公の場に 秋の党大会睨む

重病説もあった胡氏が唐突に出現

 中国の胡錦濤・前国家主席(74)が春節(旧正月=今年は1月28日)前の26日、中国広東省広州市の大規模なフラワーフェスティバル(花市)の会場に孫娘とみられる少女と手をつないで登場、その傍らには広東省党トップの胡春華・同省党委書記ら同省最高幹部が随行していたことが明らかになった。中国語版ツィッター「微博(ウェイボ)」で、花市に現れた胡錦濤氏ら一行の写真が掲載された。

 胡氏の動静が伝えられるのは2015年9月に北京で行われた抗日戦争勝利七十周年記念の大規模軍事パレードの閲兵式に参加して以来、約1年半ぶり。

 その際、天安門楼上にいた胡氏の両手が小刻みに震えている様子が生中継のテレビ映像ではっきりととらえられており、これを契機に、胡氏の動静が伝えられることはほとんどなくなっていた。

 BBC放送などによると、胡氏は重度のパーキンソン病や心臓の血管系の病気を患っており、2013年春の引退後、入退院を繰り返しており、胡氏の重病説がささやかれていた。

 胡氏は最近まで広東省の沿岸部の珠海市で病気療養中で、ウェイボに掲載された写真では、顔がむくみ、やつれがひどいことから、まだ体調は思わしくないとの印象を与えている。

 また、写真では胡氏の隣に孫娘とみられる少女や若い男性ボディガードや、胡氏が率いる中国共産主義青年団(共青団)閥出身で共青団の最高幹部経験者だった側近の胡春華氏らの姿がみえる。

 胡春華氏は「ポスト習近平」候補として、今年秋の第19回中国共産党大会では党最高指導部の党政治局常務委員会入りするとみられている。

 だが、習近平主席としては自身の派閥である太子党(高級幹部子弟)グループの側近を最高指導部入りさせて、胡春華氏ら共青団出身の最高指導部入りを抑えたいとの意向が強く、党大会の最高指導部人事をめぐって水面下で激しい権力闘争が展開されているとみられる。

 中国情勢に詳しいジャーナリストの相馬勝氏は今回の胡錦濤氏の唐突な登場について次のように指摘する。

「病気療養中だったといわれる胡錦濤氏が体調が万全でないとみられるなか、無理を押して、公衆の面前に姿を現わしたのは、習氏らのグループを牽制する狙いであることは間違いない。

 胡氏は党総書記経験者として、党大会人事では一定の発言力を有している。また、9000万人もの青年組織である共青団人脈を束ねる中心人物であり、次期党大会で胡春華氏ら共青団閥有力者の党政治局常務委員会入りを後押ししようとしたのではないか。党大会まであと1年を切ったいま、両者の権力闘争は激しさを増すのは明らかだ」

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン