「モンゴル人横綱に土をつけたり、彼らに代わって活躍を見せたりした力士には、貴乃花一門と近いとされる部屋の力士が少なくなかった。9日目に鶴竜に勝った西前頭3枚目の勢が所属する伊勢ノ海部屋、終盤まで優勝争いを演じた逸ノ城が所属する湊部屋などもガチンコ勝負の部屋として知られます」(担当記者)
そして、場所後にはガチンコ横綱・稀勢の里が誕生した。まさに貴乃花親方の標榜する真剣勝負で土俵を充実させる路線に、相撲界全体が動き出しているように見える。
そうなると、昨年の理事選で非主流派となった貴乃花親方が、“復活”するのかに必然的に注目が集まってくる。相撲協会の理事選は2年に一度行なわれ、10人の新理事の互選により理事長が選任される。
次の理事選は来年2月だ。親方衆8人の貴乃花一門の勢力は当選ラインの10票に及ばないが、理事選の際は貴乃花親方を支持する“シンパ”が存在する。
「時津風一門の錣山親方(元関脇・寺尾)などは貴乃花親方に共感していることを公言し、それを隠そうともしません。
2010年の理事選では、貴乃花親方が二所ノ関一門を離脱し、『土俵改革』を掲げて立候補しましたが、“貴の乱”と呼ばれたその頃から、水面下で共感する親方たちがいました。土俵の盛り上がりとともに支持が広がれば、八角理事長体制にもくさびが打ち込まれることになる。
なかでも注目されるのは稀勢の里の所属する田子ノ浦部屋です。二所ノ関一門に所属していますが、真剣勝負を続けるために同じ一門の部屋とも極力交流を断つガチンコ部屋で、ここが貴乃花一門に合流すれば、改革へのうねりは一気に大きくなる」(同前)
※週刊ポスト2017年2月24日号