ライフ

「だし」の自販機が都内初上陸 さっそくうどんを食べてみた

目黒に置かれただし自販機

 ついにあの噂の自動販売機が東京に上陸した。広島県江田島市にある二反田醤油が製造販売しているペットボトル入りのだし「だし道楽」である。フリー・ライターの神田憲行氏が取材した。

 * * *
「だし道楽」はあご(トビウオ)を焼いて取ったからだしと醤油をあわせたもので、ペットボトルに入れられて自動販売機で発売されている。ジュースとかお茶の感覚でいきなり道端で「だし」が売られているのである。その唐突さ、ペットボトルに「あご」が丸ごと一尾が入っているインパクトから、以前からネットでは広島土産として人気があった。

 それが2月から六本木など東京都内4箇所に「出店」、突如現れた噂の自販機はSNSで話題になっている。

「おかげさまで毎日1台あたり30本前後売れています。予想を上回る反響で、ツイッターで検索すると毎日買っていただいたお客さんのつぶやきがあって嬉しいです。なんにも宣伝していないのに、ネットの口コミの力ってすごいですね」

 と喜ぶのは、有限会社二反田醤油の専務、二反田圭児さん。

 同社がだしをペットボトルに詰めて自販機で売り始めたのは10年前から。もともとは呉市内で直営しているうどん店で販売していたが、お店の営業時間が1日4時間しかなく、時間外でもだしが買いたいというお客さんの要望に応えて自動販売機を設置したという。

「自販機で販売するためにペットボトルの形状は一から設計しました。素材のあごを丸ごと入れたのは、見た目のインパクトとうま味がさらに出るという社長のアイデアです。ペットボトルには1本ずつ人の手で入れてます」

 自販機というオートマティックな販売なのに作るときは1本ずつ手作業というのが泣かせる。ちなみにだしを使い切ったあとのあごは、オーブンで焼いて細かく砕けばふりかけとして食べられる。

 自販機の設置は呉市から広島市内に広がり、観光客が広島土産として購入していくことに着目して、設置範囲を徐々に県外にも広げていった。現在は首都圏、中部、西日本の37ヵに38台を置いている。販売されているのは「だし道楽 焼きあご入り」(500ミリリットル・700円)と「だし道楽PREMIUM 焼きあご・宗田節入り」(同・750円)の2種類だ。

 ちなみに設置場所は呉のうどん店以外はすべて駐車場になっている。会社は設置場所を探す必要が無く、駐車場側はデッドスペースの有効活用ができ、「ウィンウィン」のビジネスモデルになっている点も、なかなか商売上手である。

 記者もさっそく目黒にある自販機で「だし道楽」を購入して、うどんを作って食べた。だしの色は薄くて見たときは「これで本当に味がするのかな」と心配になったが、飲んでみると上品な甘さで、舌にうま味がしっかり感じられる。

 もともと焼きあごでだしを取るのは長崎県の食文化という。それを新商品開発で同社が瀬戸内に持ってきて、かつおだしとはまた違う風味がうけた。現在の目標設置台数はいまの倍というが、二反田さんによるとやや悩ましい問題もあった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

タレントでミュージシャンの桑野信義(HPより)
《体重58キロに激減も…》桑野信義が大腸がん乗り越え、スリムな“イケオジ”に変貌 本人が明かしていた現在の生活
NEWSポストセブン
総裁選の”大本命”と呼び声高い小泉進次郎氏(44)
《“坊ちゃん刈り”写真も》小泉進次郎と20年以上の親交、地元・横須賀の理容店店主が語った総裁選出馬への本音「周りのおだてすぎもよくない」「進ちゃんは総理にはまだ若い」
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
《2人の信者が入水自殺》「こいつも死んでました」「やばいな、宇宙の名場面!」占い師・濱田淑恵被告(63)と信者たちが笑いはしゃぐ“衝撃音声”【共謀した女性信者2人の公判】
NEWSポストセブン
雅子さまの定番コーデをチェック(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《“定番コーデ”をチェック》雅子さまと紀子さまのファッションはどこが違うのか? 帽子やジャケット、色選びにみるおふたりの“こだわり”
NEWSポストセブン
ハロウィーンの2024年10月31日、封鎖された東京・歌舞伎町の広場(時事通信フォト)
《閉鎖しても何も解決しない》本家のトー横が縮小する中、全国各地に”ミニトー横”が出現 「追い出しても集まる」が繰り返されている現実 
NEWSポストセブン
「慰霊の旅」で長崎県を訪問された天皇ご一家(2025年9月、長崎県。撮影/JMPA) 
《「慰霊の旅」を締めくくる》天皇皇后両陛下と愛子さま、長崎をご訪問 愛子さまに引き継がれていく、両陛下の平和への思い 
女性セブン
おぎやはぎ・矢作兼と石橋貴明(インスタグラムより)
《7キロくらい痩せた》石橋貴明の“病状”を明かした「おぎやはぎ」矢作兼の意図、後輩芸人が気を揉む恒例「誕生日会」開催
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
「一体何があったんだ…」米倉涼子、相次ぐイベント出演“ドタキャン”に業界関係者が困惑
NEWSポストセブン
エドワード王子夫妻を出迎えられた天皇皇后両陛下(2025年9月19日、写真/AFLO)
《エドワード王子夫妻をお出迎え》皇后雅子さまが「白」で天皇陛下とリンクコーデ 異素材を組み合わせて“メリハリ”を演出
NEWSポストセブン
「LUNA SEA」のドラマー・真矢、妻の元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《大腸がんと脳腫瘍公表》「痩せた…」「顔認証でスマホを開くのも大変みたい」LUNA SEA真矢の実兄が明かした“病状”と元モー娘。妻・石黒彩からの“気丈な言葉”
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン