芸能

本田博太郎 CG使わない『北京原人』なら時代変えたと思う

映画『北京原人』で原人役を演じた本田博太郎

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、時代劇だけでなく『北京原人』のようなユニークな作品に出演するなどした1990年代、素晴らしい演出家に巡り合えてきたことについて本田博太郎が語った言葉をお届けする。

 * * *
 本田博太郎は1995年、工藤栄一がメイン監督を務めたテレビシリーズ『雲霧仁左衛門』にレギュラー出演し、盗賊団の一味「州走りの熊五郎」を演じた。山崎努が扮する頭目の指示に対して「へい」と返事をするのだが、その口調が独特だった。

「工藤さんが熊五郎だったら、ということを考えていました。工藤さんだったら、命令されてもパッとは動かないだろう、と。ましてや山崎さんが頭にいて、小頭に石橋蓮司さんですから。あの二人の下では『はいっ!』って素直に従うような人間は通用しないと思いました。『お前、もういらん、おもろないって言われたくない!』と、もっと深いところで感じ、思考する、手に負えないような奴が集まってるはずです。

 ですから、このような感じで『へ~い』となりました(笑)」

 1997年の映画『北京原人 Who are you?』では原人役を演じて話題になった。

「俺の代名詞みたいになっちゃったけど、嫌なんです。あれは完璧な手作りで、CGなんか使わないでアメリカに持っていくべきだったんですよ。『猿の惑星』だけじゃない。日本にもこんなのを作る奴らがいるんだ──そう思えるくらいのができるはずだったと思います。

 そこからきっと何かが生まれたと思うんです。たとえ日本で評価されなくとも、海外で分かってくれる人たちが必ずいるんだと。CGを使わなくとも、これだけ説得力あるものが日本でもできたって。もしそういうものができていたら、『俺たちはCGに頼り過ぎてきた。原点に戻ろうよ』と思う作品になっていたんじゃないでしょうか」

関連キーワード

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン