もはやライバルとしては、総合電機の世界二強である米GEや独シーメンスに割り込み、“三強時代”を形成しつつある。『経済界』編集局長の関慎夫氏がいう。
「何より日立の強みは、あらゆる分野に根を張って、グループ内にあらゆる産業を抱えていることにある。それは同じ総合電機でも東芝はもちろん三菱電機の比ではない。
日本企業の中でもこれだけの総合力を持つのは日立くらいであり、今後発展する新たな社会インフラ分野で世界をどうリードしていくのか。日本が世界と伍して戦えるかどうかは日立にかかっているといっても過言ではない」
33万人を擁する10兆円企業ながら、日立は技術力を背景にまるでベンチャー企業のようなチャレンジ精神で道を切り拓いてきた。そんな存在と軌跡にこそ、他の日本企業が学ぶべき大きなヒントが隠されている。
「三種の神器(洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビ)」が“豊かさの象徴”とされた在りし日の高度経済成長期。“家電業界の雄”だった日立は、日本の右肩上がりの時代を牽引する原動力だった。
それから半世紀の時が流れ、日本経済は長期的な停滞から脱しようとする段階にある。軸足は家電から重電やインフラに変わったが、新たな日本の経済成長をリードしていくのも、やはり日立の総合力なのかもしれない。
※週刊ポスト2017年3月17日号