スポーツ

青山学院大学 駅伝好調もスポーツ新聞「青スポ」は存続危機

「青山スポーツ」昨年12月発行第63号の1面

 紙メディアの苦境が伝えられて久しい。その波は実力と人気が伴う運動部を抱える大学スポーツ新聞にも及び、休部や休刊、定期刊行停止が続いている。そのなかに、箱根駅伝3連覇、大学駅伝3冠王を成し遂げた駅伝チームで知られる青山学院大学の『青山スポーツ』がある。4月発行予定の新入生歓迎号の準備はすすめているものの、昨年12月の箱根駅伝を特集した第63号を最後に、年4回の定期発行が難しい状態だ。

 大学スポーツ新聞とは、学生が同じ大学や学生スポーツ選手を取材し、記事を執筆、編集して発行しているスポーツ新聞のこと。見出しのレイアウトや判型は、駅やコンビニなどで買える普通のスポーツ新聞とほぼ同じだ。早稲田大学の『早稲田スポーツ』(1959年創刊)、明治大学の『明大スポーツ』(1953年創刊)、同志社大学の『同志社スポーツアトム』(1978年創刊)などが知られている。各キャンパスや各競技の主要大会での無料配布や、定期購読(郵送)によって入手できる。

『青山スポーツ』もスポーツ新聞の印刷所を間借りして毎号、発行している。昨年12月に発行した箱根駅伝特集号は、オールカラー4ページ。1面は駅伝だけでなくマラソン挑戦もしている一色恭志が走る姿に、大きく「3連覇」「3冠」の文字が躍っている。陸上だけでなく野球、バレーボール、レスリング、ラグビーなどの活躍も各面で伝え、4面は印象的なアディダスの全面広告だ。このときの発行部数は5000部で、定期購読者への送付とキャンパスでの無料配布だけでなく、1月2日、3日に箱根駅伝の沿道でも配布された。

 現在、『青山スポーツ』の編集と記事執筆を担うのは、理工学部1年生の長尾凜さん。4月から社会人になる4年生の先輩に紙面のつくりかたを教わりながら、取材と執筆、編集作業をすすめている。

「青スポ(青山スポーツ)には昨年9月に加わり、12月発行の記事も担当しました。とはいえ、入ったばかりで割り振られた記事を書くのが精一杯だったので、紙面をどうやってつくるかはよくわかっていません。それでも、私自身、入学式を終えてすぐに紙の青スポを手にしたことが、こうやって取材や編集に加わるきっかけだったので、今年4月の新入生にもぜひ読んでもらいたい。新しい仲間が増えることを楽しみにしながら、新入生歓迎号の準備をすすめています」

 これまでは3年生が中心となって紙面をつくってきたが、就職活動が本格化し活動時間が制限される。残されたのは1年生の長尾さん一人となり、これまで続けてきた年4回の定期刊行が難しくなった。そのため、12月発行ぶんを最後にいったん休刊を宣言したが、新入生に紙面を届けたいという長尾さんの強い思いにOBが応える形で編集作業を手伝い、スポーツ新聞の印刷所で新入生歓迎号の制作がすすめられている。

 青山学院大学で初めてスポーツ新聞が発行されたのは、1990年代後半のこと。体育会直属の機関誌として発行されたが、8号で休刊になった。それから数年後、スポーツ新聞を復活させたい有志によってサークルが発足され、まず2003年3月にホームページ版が、ほどなく紙面も復活した。それからちょうど14年になる。

『青山スポーツ』が復活した翌2004年、原晋監督が青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督に就いた。ほぼ同じ頃に再スタートしたことを思うと、青学が駅伝の強豪校になるのを、青スポはもっとも近くで歩みを同じくして見守り続けた存在のひとつと言えるだろう。2015年の箱根駅伝初優勝以来、必ず号外も発行してきた。しかし2017年は、ホームページで記事を提供するにとどまった。「号外、出したかったですね」と長尾さんは残念そうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン