交番と同じ機能を持ち、警察官が勤務して、警察官とその家族が住む官舎も兼ねる駐在所。全国の交番(警備派出所も含む)の数が6248であるのに対し、駐在所は6431。警視庁管内では交番826に対し、駐在所は258か所ある。「顔の見える警察官」として「駐在さん」が見直され、1990年代後半から都市部でも増えてきた。
時間外や休日も仕事になることが多く、また配偶者も電話対応などの仕事を手伝う必要がある。そのため謝金等が支払われる。
都市部の駐在所のなかでもモデルケース的に始まったのが、警察官の夫婦が一緒に勤務する「夫婦駐在」。長野県で始まって全国に広がり、現在、警視庁管内にも4か所ある。2002年にその「夫婦駐在」として全国で2番目に開設されたのが、月島署リバーシティ駐在所だ。
塩田亮一巡査部長(34)と明日香巡査部長(30)の夫婦は、そこに5年ほど前から勤務している。駐在所勤務の1年前に結婚し、亮一巡査部長が「住民に最も身近な警察官をやってみたい」と希望した。
管轄区域は、古くからの住民が住み、一戸建てが多い地区と、新住民が中心となるタワーマンション街からなる。後者の中にある駐在所は小さなマッチ箱のようだ。交番と同じように、管轄区域内で発生する110番処理や、各種訴えなどの対応を行なうほか、住民からの相談に乗ったり、地域行事にも参加する。
「24時間一緒なので、直接情報交換できるのが強み。逆に仕事のことで意見が対立し、喧嘩することもあります」(亮一巡査部長)
仕事中は互いを「塩田主任」「明日香主任」と役職で呼ぶそうだ。
「2人で会話する時も、公私の区別をしすぎて他人行儀なので、署の上司に『(夫婦の仲は)大丈夫か?』と心配されます」(明日香巡査部長)