警視庁管内には「島の駐在さん」もいる。たとえば伊豆大島の大島署管内の11の駐在所(内1つは利島)に勤務する警察官がそうだ。
そのうちのひとつ、島南部の下地駐在所に10か月ほど前に赴任してきたのが高野徳人巡査部長(42)。都心の交番や機動隊を経験したが、「もっといろんなことを経験したい」と島部勤務を希望した。
ミニパトでパトロールするときには窓を開けておく。すれ違う車、人と挨拶しやすくするためだ。
「ここでは住民とのコミュニケーションが非常に大事ですから」
それを積み重ねていたおかげで住民に助けられたこともある。「縁石に乗り上げて動けなくなった車がいる」と連絡があり出動したら、たまたま知り合いの建設業者が通りかかり、積んでいた重機で車を牽引してくれたのだ。
駐在所には子供向けの本が数十冊置かれている。
「昔、駐在所が図書館の役割を果たしていた時代があり、その名残なんです」
保育園児が書いた「いつもおしごとありがとう」という感謝状も飾られている。それらは、駐在所が島にとってなくてはならぬ存在であることを示している。
●撮影・太田真三
※週刊ポスト2017年3月17日号