国際情報

落合信彦氏 2月の日米首脳会談は「まるで飼い主と犬」

この男のご機嫌をうかがう必要はない 共同通信社

 安倍首相とトランプ大統領の日米首脳会談が2月中旬に実現。ゴルフを一緒に楽しむなど、安倍首相は新大統領との関係強化に努めた。しかし作家の落合信彦氏は、「27ホールのラウンド」で浮かれている場合ではないと警告する。

 * * *
「トランプとの首脳外交は、ロシアン・ルーレットのようなものだ」

 ニューズウィークは、そう指摘している。日本はもう何度も、そのロシアン・ルーレットの弾に当たっている。トランプは突然、トヨタに対し「メキシコへの工場建設はあり得ない!」「アメリカに工場を建設しないと多額の関税を払わせる」とツイッターで恫喝。さらには「日本は為替操作している」と放言した。そのたびに、市場は揺さぶられることになった。

 安倍はトランプと一緒に27ホールもラウンドし、何度も食事をともにしたことで「大統領と信頼関係を築いた」と強調していたが、「トランプの弾」はすぐに日本に飛んでくるはずだ。

 2月中旬の日米首脳会談は、まるで「飼い主と犬」のようだった。大統領専用機「エアフォース・ワン」に乗せてくれるからといって喜び、フロリダ州の別荘に招かれて浮かれ、トランプが好きだという「金色」のネクタイを締めて尻尾をブンブン振る。トランプは、安倍のことを「呼べばすぐ飛んでくる犬」くらいに考えているはずだ。

 安倍は共同記者会見で「大統領は素晴らしいビジネスマンだが、議員や知事の経験はなかった。これこそまさに、民主主義のダイナミズム。大統領就任を、心から祝福したい」と持ち上げた。テレビは「今回の首脳会談は100点満点に近い」と評価していたが、トランプは安倍のことを「犬」として可愛がっただけだ。

 首脳会談で自動車などの貿易問題や在日アメリカ軍の経費負担問題が出なかったことが、なぜ「100点満点に近い」のか? つい先日まで日本を口汚く攻撃していたのは、トランプ自身に他ならない。それを忘れたふりして「仲良しごっこ」することに意味はない。

 どうせまた「日本はもっとアメリカ車を買え」などと言い出すのだから、安倍は正々堂々と交渉すればいいのである。ケンカすることを恐れて「従順な犬」を続けていれば、必ず日本の国益は蝕まれていくのだ。

※SAPIO2017年4月号

関連キーワード

トピックス

野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
川道さら
【「今日好き」で大ブレイク】20歳を迎えた川道さらが語った仕事への思い「お酒で体重増えたから毎日9~10㎞走っています」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
決勝の相手は智弁和歌山。奇しくも当時のキャプテンは中谷仁で、現在、母校の監督をしている点でも両者は共通する
1997年夏の甲子園で820球を投げた平安・川口知哉 プロ入り後の不調について「あの夏の代償はまったくなかった。自分に実力がなかっただけ」
週刊ポスト
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン