【荒川区】(定数2)
公明落選の衝撃
そして国政に大きな影響を及ぼしそうなのが公明党の獲得議席だ。公明党は創価学会本部(東京・信濃町)がある東京での都議選に国政選挙以上の力を入れることで知られる。支持母体の創価学会にとって選挙は「組織固めにつながる重要な活動」(ベテラン学会員)で、「候補者全員当選」が至上命題とされている。そのため中選挙区に複数の候補者を立てる場合は全員当選圏内に入るよう厳密な票割りを行なう。
前回の統一地方選では、公明党は41道府県議選と17政令市の市議選に345人の候補者を立て、落選はわずか1人。都議選は過去6回連続で候補者を全員当選させてきた。
ところが、その連勝記録がストップするかもしれない。公明党は今回の都議選に23人の候補を立てるが、本誌の予測では「荒川区」(定数2)で公明候補は大苦戦、定数1増で新たに候補者を立てる北多摩第3選挙区(定数3)でも、まだ当選圏内に入っていない。都議選で落選者が出れば28年ぶりで、2人落選なら組織にとって大打撃だ。創価学会で長く選挙の前線に立つベテラン学会員が語る。
「学会の活動家が選挙になると友人・知人に声をかけて集めるF(フレンド)票は非学会員の無党派票です。だから公明党の議席は風に大きな影響を受ける。公明党都議団が自民党との連立解消を宣言したのも、小池支持に回った方がF票を集めやすく都議選に有利だという判断だ。それでも今回は全員当選が厳しい情勢。
しかし、そのまま知事から都政のブラックボックスと批判されている自民党と組んでいれば票はもっと減る。都議選で自民党が惨敗し、それが国政選挙にも波及するようであれば、国政の自公連立や選挙協力にも影響が出る」
公明党以上に危機的なのがライバルの共産党。前回都議選では民主党の失速で事前の予測以上の18議席を獲得、“議席バブル”といわれたが、今回は小池旋風で議席半減の危機だ。
まさに小池新党が与野党ともに既成政党を一気に吹き飛ばし、最終的には単独過半数をうかがう60議席以上に伸ばす可能性がある。
※週刊ポスト2017年3月24・31日号