小久保監督を見習って、お花見の場での幹事も「全員が納得することはあり得ない」と腹をくくって、デンと構えましょう。多少の不公平や不満そうな様子は見て見ないフリして、とにかく全体が「何となく盛り上がっているような雰囲気」になるように持っていくのが、幹事のもっとも大切な役割です。終わり良ければすべて良し。撤収のときに大きな声で「いやあ、楽しかった!」と発すれば、きっと何人かは同意してくれて、参加者のあいだに「ああ、いいお花見だった」という気運が広がるでしょう。
見て見ないフリをするといっても、参加者のことを気にかけないという意味ではありません。チームの中心となっている中田は、小久保監督が3月11日の全体ミーティングで、いきなり「今日は菊池の誕生日。おめでとう」と手を叩いたことに深く感動したとか。「周りを思わない人が監督だったら、誰も付いていかない」とも言っています。
お花見の幹事も、その日や近い日が誕生日の人を調べておいて、いきなり全員に乾杯を呼びかけるぐらいのことはしたいところ。差し入れのお酒を開けたり料理を配ったりするときは、「○○さんが買ってきてくれたお酒です!」「○○さん手作りのローストビーフです!」などと宣言しましょう。節目節目で「ちゃんと気づかっている」というイメージを漂わせることができたら、あとは流れにまかせておけば問題ありません。
ただ、どれだけ事前に心の準備をしても、お花見の成否を左右するのは、結局のところ当日のお天気です。野球だって、監督がどれだけ事前にがんばっても、選手の調子や勝負の運はフタを開けてみるまでわかりません。しかし、どうなったにせよすべての責任を背負わざるを得ないのが、監督や幹事の宿命です。
お花見当日、やたら寒かったり風が強かったりして参加者に不満そうな顔をされたら、「申し訳ない! すべて俺の責任だ」と頭を下げまくりましょう。べつに幹事のせいじゃないのはみんなわかっているので、激しく責める人はいないし、むしろ「なんてよくできた人だ」と尊敬を集めることができます。そこは日本代表チームの監督とは事情が違いますが、こっそり「日本代表チームの監督気分」を味わうのもオツなもの。
そんな感じで、WBC決勝ラウンドの応援もお花見も、大いに楽しみましょう。侍ジャパンが見事に優勝してくれたら、今年の桜は一段ときれいに見えるだろうし、もし残念な結果だったとしても、散りゆく桜と重ねながら味わい深い花見酒が飲めます。スポーツも桜も、つくづくありがたいですね。