国際情報

ソウルのデパ地下従業員「中国人いなくなってせいせいした」

中国人の姿が消え閑散として明洞の街並み 共同通信社

 THAAD(高高度防衛ミサイル)の配備を開始した韓国が、中国の激しい経済報復に喘いでいる。真綿で首を絞めるように、ヒト・モノ・カネの往来を閉ざし、揺さぶりをかける中国の報復戦略は、韓国にどれほどの打撃を与えているのか。

 中国政府が韓国への団体旅行を全面的に禁じた3月15日、ソウル最大の繁華街・明洞は、明らかにいつもと違う表情を見せていた。夕刻の人混みは相変わらずだが、目抜き通りに飛び交っていた中国語の呼び込みの声はまったく聞こえない。

 つい数か月前まで中国人団体客で賑わっていた飲食店や各種ショップは、どこも閑古鳥が鳴いている。

 暇を持て余し、スマホをいじっていた化粧品店の女性店員に話を聞いた。中国語が堪能な彼女は、大挙する中国人の接客要員として2年前に採用されたという。

「今年になると徐々に中国人客が減り、同期の店員が2人辞めさせられた。2月に入り、自分も8000ウォン(約800円)の時給を5500ウォン(約550円)に減らされた」

 同じく明洞で飲食店を営む60代の女性もこう嘆く。

「中国人客が明らかに減ったのは今年に入ってから。2月には全盛期の半数になり、3月はほぼゼロ。中国人は嫌いだが、韓国人よりお金を落としてくれるので助かっていた。この状態が続けば店を畳むしかない」

 昨年、韓国を訪問した外国人は約1700万人と過去最高を記録。中国人は半数を占める800万人に達していた。だが、THAAD問題が表面化した昨夏から徐々に中国人客が減少。3月15日以降は個人旅行客も激減している。

 明洞と並ぶ繁華街の東大門市場や鍾路でも悲痛な声が聞こえてきた。

「東大門市場には中国から多くのバイヤーが訪れるが、3月15日以降は個人も渡航に制限が掛けられているようだ。市場には普段の3分の1程度しか中国人がいない。今までにない危機感を感じる」(靴の卸業者)

「鍾路では、今年に入り3人の貴金属商が経営難で自殺に追い込まれたと聞いている。貴金属は取り引き額も大きく、中国人相手に商売する人間のダメージは計り知れない」(鍾路の商店主)

関連キーワード

トピックス

俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン