◆神聖なグラウンドは今……
1983年に265万人だった教団の公称信者数は約90万人にまで減少。実数はもっと少ないだろう。信者の激減とともに、学園の生徒数も減った。学園OBである教団関係者はこう話す。
「学園中学の今年の入学生は約30人で1クラスしかない。高校は外部からの入学もありますが、それでも一学年50人程度です」
硬式野球部がなくなり、教団一等地に広がる硬式専用グラウンドを軟式野球部が使うこともあるという。ある硬式OBは戸惑いを隠せない。
「あのグラウンドは2代教祖様が築き、先輩方が汗水流した神聖な場所。廃部となったからといって、すぐに軟式が使うのは、自分たちの青春が踏みにじられているような気がしてなりません。もちろん、取り壊されるよりはましですが」
PL学園が脱退届を提出するにあたって、野球部のOB会には事前に相談も報告もなかった。学園内でも突然、職員室でこの事実が発表されたという。前出の教団関係者は言う。
「硬式野球部を再開したあかつきには、すぐに再加盟すると説明したようです」
しかし、再加盟には厳しい道のりが待つはずだ。野球部は学園創立と同時に創部されたが、高野連に加盟が認められたのは1年後だった。井元が振り返る。
「当時は学園の生徒数も少なく、練習環境の整備もできていなかった。それゆえ『時期尚早だ』と判断され、加盟を見送られたのです」
生徒数が激減した学校の再加盟申請がそう簡単に認められるとも思えない。