スポーツ

PL学園硬式野球部の高野連脱退 1期生含むOBたちの思い

名門野球部の廃部にOBたちは何を思うか

 数々の名選手を生んだPL学園野球部がついにその歴史に幕を下ろした。センバツ甲子園の最中に報じられた「高野連脱退」のニュースを関係者はどう聞いたか。『永遠のPL学園 六〇年目のゲームセット』の著者であるノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 大阪府高等学校野球連盟が、PL学園から提出されていた「高野連脱退届」の受理を発表したのは、3月29日だった。その日、甲子園でセンバツ準々決勝を取材していた私は、すぐに学園1期生の井元俊秀に連絡を入れた。

「ホント? 知らんかった。エー、ホントなの?」

 80歳になる井元は、何度もそれが事実かを確認した。井元は硬式野球部を創った人物であり、同校が1962年春に初めて甲子園に出場した時の監督である。KKコンビ(桑田真澄、清原和博)らが活躍した1980年代の黄金期にはスカウトとして活躍。井元からすれば、我が子を失ったも同然だろう。

「昨年7月以来、休部となっていたわけだから、ある程度は予測できたこと。ショックは少ない……いや、やっぱり寂しいなあ」

 PL学園は新宗教団体・パーフェクトリバティー教団を母体として、1955年に創立された。教団の2代教祖・御木徳近は建学と同時に野球部を創部し、甲子園のアルプス席に「PL」の人文字を描いて教団名をアピールしようとした。

 そんな徳近の命を受けて、2002年の退任まで野球部を陰で支えたのが井元だった。

「野球を心から愛した2代教祖は、このニュースを聞いて、どう思っているんかな。私学がどこも学校経営に苦しんでいる時代ですから、『これも仕方ない』と言っているかもしれないし、『何を考えておるんじゃ。バカモン!』と怒っているかもしれない。とにかく、素晴らしい野球部だった」

 廃部の発端は、度重なる不祥事である。2013年2月に部内の暴力事件で高野連から6カ月の対外試合禁止処分が下ると、当時の河野有道監督は引責辞任。監督の人事権を持つ教団は野球経験者を据えることなく放置した。2014年10月には新入部員の募集を停止。そして昨年7月、後輩のいない12人の部員が大阪大会初戦で敗れ、活動休止となった。

関連記事

トピックス

荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
舞台『シッダールタ』での草なぎ。東京・世田谷パブリックシアター(~2025年12月27日)、兵庫県立芸術文化センター(2026年1月10日~1月18日)にて上演(撮影・細野晋司)
《草なぎ剛のタフさとストイックさ》新幹線の車掌に始まり、悟りの境地にたどり着く舞台では立見席も
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
「異物混入」問題のその後は…(時事通信フォト)
《ネズミ混入騒動》「すき家」の現役クルーが打ち明ける新たな“防止策”…冷蔵庫内にも監視カメラを設置に「なんだか疑われているような」
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン