一般的にはまったく知られていないものの、世界シェア100%を誇る中小企業は国内に数多く存在する。耐熱バーコードラベルで世界市場を100%独占するのが、大阪府吹田市の「YSテック」だ。
約1200℃という超高温状態の鉄やアルミに貼る耐熱バーコードラベルを開発して新たな市場を創造、もちろん世界シェアは100%。開発のきっかけは、鉄鋼メーカーが鋼材に手書きするなどして製品管理している現場に疑問を持ったことだった。人による管理には限界があり、様々なトラブルの原因になっていた。
「2005年にカナダにある北米最大手の精錬所からの受注で世界的な知名度が浸透しました。市場規模はまだ小さいのですが、競合のない独占市場。貼付機械や管理システムも組み入れ、大きな成長産業に育てていきます」(岡山太一部長)
独自開発の特殊粘着剤とコーティング剤をアルミ箔に塗布。冷却後、屋外に長期間保管しても剥離することなく情報が読み取れるのも大きな特徴だ。
■取材・文/小野雅彦 ■撮影/内海裕之
※週刊ポスト2017年4月14日号