使用期間の限定に私は少しひっかかったが、「更新することもできます。期間が終わると、ご遺骨を永代供養墓に合祀し、永代にわたってご供養させていただきます」と。その永代供養墓に、いきなり入ることもできますか?

「もちろんです。お1人10万円で承っています」と、吉崎住職。

 自動搬送式のお墓にかなり心を奪われたが、仏壇型、ロッカー型も一興だな…と思った理由の第一は、供花と線香だった。やはり、お墓には自分でお花を供えたい。ここには、お参りに来た人の個性とセンスがうかがえる花束が供えられていた。お線香の心地よい香りがしみついている。電子線香ではこうはいかない。

 もっとも、自動搬送式のお墓には共用といえども参拝所にあった「墓石」がここにはない。「墓石のないお墓」への違和感はなくはないが…。しかし、宗派を限定しているというのは、本来のお寺の姿かもしれない。

「かつて『家の宗教』が機能し、日本の仏教は保たれてきましたが、今の人は『信仰は自由だよ』ですよね。法的にはそのとおりです。しかし、“商売”のためにお寺が“お客様”に寄りすぎるのはどうかと思うので、この形をとったのです」(吉崎住職)

 余談したことを書くと、吉崎住職は、僧侶側がお布施の額を一律に提示する近頃の傾向を「寺が自分の首を絞めるだけ」ときっぱり言った。立正寺では、布施額を聞かれたら「お気持ちです」と伝える。「そのお気持ちが、自分ではわからないから教えて」という人にはいくつかの前例を伝えるにとどめるそうだ。

 極論すれば、お墓の使用権だって定額ではなく布施であるべき? ちらりと頭をかすめた。「宗教行為」として、消費税がかからないのだから。いやいやお寺との共存に異議はない。

※女性セブン2017年4月27日号

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