熊本地震から1年。全国の漫画家から新しい復興支援の取り組みが始まった。フリーライター・神田憲行氏が紹介する。
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3月11日、テレビを付けると東日本大震災の追悼式が行われていた。テレビから流れ出す「黙祷」の合図に、そっと目を閉じる。
日本人は年間に何回黙祷するのだろう。8月15日は私は高校野球の取材をしているので、甲子園球場で20年以上黙祷をしている。阪神淡路大震災(1月17日)、新潟中越地震(10月23日)、広島と長崎の原爆の日(8月6日と9日)、沖縄戦(6月23日)に黙祷を捧げる人もいるだろう。気づくと日本列島は毎月どこかで黙祷を捧げる国になった。
そこにまた新しい黙祷の日が加わった。4月14日と16日、熊本地震である。
3月下旬、熊本城を訪れた。崩壊した石垣、崩れた屋根瓦などまだそのままで、周囲は紐が張り渡されて立ち入り禁止になっていた。熊本城の場合、復興ではなく元通りに直す復元なのでまだ相当時間がかかるそうだ。
人によってその光景を見て「無残」と思うかもしれない。だがこのデータを知ればどうだろう。
気象庁の「震度データベース」によると、日本で震度7を記録した地震は5回だ。阪神淡路、東日本大震災、新潟中越、そして去年の熊本の2回である。つまり熊本城は震度7を連続で2発食らっても、まだ立ち続けているのだ。石垣が崩れ、屋根瓦が吹き飛んでも立つ様は雄々しく、まるで傷ついてもまだ両脚を踏ん張って天を睨む武将のようだ。熊本城はその姿で、被災者を励ましている。
さらにそこにもうひとつ、全国の漫画家有志からの支援の手が加わった。