芸能

Eテレ『きょうの健康』 50年続いた要因は「シンプルさ」

Eテレ『きょうの健康』司会の岩田まこ都さんと黒沢保裕アナの息はぴったり

 現在、NHK Eテレで放送中の『きょうの健康』(月~木)が4月で放送開始50周年を迎えた。これまで数ある健康番組が登場しては消える中、なぜこの番組は今日まで続いてきたのか?

 平日の20時30分──。「毎日の健康に役立つ確かな情報をお伝えするきょうの健康です」という司会の黒沢保裕アナの言葉から番組は始まる。番組放送中、出演者の口調は一貫してゆっくりしていて、難しい専門用語も聞きやすい。

 毎回、放送時間は15分で、1つのテーマを4日間にわたり取り上げる。たとえば目の病気なら、月曜は白内障、火曜は緑内障、水曜は糖尿病網膜症、木曜は加齢黄斑変性について、病気の特徴から、最新の治療などをアナウンサーが質問し、専門医が丁寧に答える。

 このスタイルは50年前からほぼ変わらないのだが、それこそが、長寿番組になった要因だと、上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんは言う。

「ほかの健康情報番組では、エンターテインメント性を打ち出すため、あおったりして大げさな演出をすることがあります。でも、この番組に関しては余計なことはせず、正確な情報だけを出している。変に加工しないからこそ、安心して見ていられるのではないでしょうか」(碓井さん)

 番組のスタイルはシンプルだが、放送されるまでには半年近くの制作期間をかけていると言うのは、チーフ・プロデューサーの阿久津哲雄さんだ。

「5か月前に企画を決めて、同時に解説をしていただく専門医を探します。これが『きょうの健康』の生命線。たとえば腰痛なら、整形外科学会で専門医を紹介してもらうのですが、腰痛にも脊椎管狭窄症など種類があるので、その病気に精通した専門医にお願いするよう、徹底しています」

 こうして専門医が決まったら、いよいよ取材開始。

「まずは2時間程度、その病気についての話を聞きます。こちらである程度、内容は決めていきますが、先生が何気なく言われた話から、最新医療の話に繋がることも多いですね」(阿久津さん)

 1回目の取材が終わったら、番組の台本を作成し、その後、何度も専門医と推敲を重ね、台本の精度を上げていき、いよいよ収録となるのだ。

「番組のテキストが発売されているので、気になった病気のおさらいができるのもいいですね。わかりやすく伝えるための、緻密な準備と取材が根底にあることが番組とテキストの両方を見ると、よくわかります」(碓井さん)

 さらに、視聴者が番組に関して疑問に思ったことは、ホームページを通じて質問でき、後日、専門医が質問に答えてくれることもあるのだが、そんな、かゆいところに手が届く仕組みも番組の大きな魅力だ。

※女性セブン2017年5月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン