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高速道路の「120km化」 安全確保には物流改革も必要

高速道路を「高速化」しただけでは交通戦争は収まらない

 長年、法定速度が時速100km(以下、時速表記省略)と、先進国の中で速度が最も遅かった日本の高速道路。今年度、新東名高速道路および東北自動車道の一部でその速度制限が緩和される予定だ。

 まずは110kmに変更して様子を見、問題がなければ120kmとし、上記以外の高速道路についても線形が良く、事故の少ない区間に拡大適用していくのだという。

 最高速度120kmといえば欧州のスイスやスペイン、アメリカの75マイル制限の州と同等。ドイツの速度無制限区間や130km制限のフランス、イタリア、オーストリアなどよりは遅いが、それでも十分にワールドレベルと言える。ゴールデンウィークには間に合わなかったが、今後の旅行時間の短縮効果には期待大だ。

 高速道路の制限速度の引き上げは、実は結構大変なことだ。現在でも高速道路の区間によっては、流れ自体が制限速度より速いところも少なくない。たとえば新東名は85%のクルマが走る速度の上限が120kmをオーバーする区間もある。

 が、実情がそうであっても、行政がそれに“お墨付き”を与えるとなると、安全性の担保や速度違反取締りの厳格化など、やらなければいけないことはたくさんある。

 交通実態を勘案して速度制限を緩和したケースとしてイタリアの高速道路の例(130km→150km)が挙げられるが、実際には引き上げに至らず、緩和から10年以上が経った最近になってようやくイタリア警察が150km区間を公表したくらいだ。

 日本の場合はそれより低い速度レンジでの引き上げなので、イタリアよりはハードルが低いが、それでも大変なことに変わりはない。

 こう書くと、「日本の高速道路の制限速度はクルマの性能が低かった50年以上前に設定されたもので時代遅れ。20kmくらいの引き上げは当然」という声が聞こえてきそうである。

 もちろんそれはまったくの正論だ。が、日本の道路交通システムは高速道路、一般道とも、これまでずっと先進国の中でブッチギリに遅い速度を前提に運用されてきた。ドライバーもそれに慣れきっている。その速度を引き上げるにあたって、ドライバー個人や社会システムがそれに順応していく必要がある。

 高速道路の速度制限の引き上げには反対の声も少なくない。80km程度のクルマと120kmのクルマが混走すれば、速度差は40kmにもなり、危険が増すというのだ。

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