国際情報

中国で「美人過ぎる嫁」を不安視の母が警察に駆け込んだ顛末

美しさが不安に(写真はイメージ。アフロ)

 経済成長は人々の心に隙間を作るものなのかもしれない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 中国も年々、住みにくい社会が広がっているようだ。そんなことを感じさせるニュースが、山東省で唯一の夕刊紙『済魯晩報』の人気コーナー「壹点」に掲載された。記事のタイトルは、〈息子の連れてきた女友達が美人過ぎることを心配した母親が心配 『まっとうな仕事をしてきた証明書』を要求〉である。

 記事ではまず、近年の中国社会において、多くの個人や団体が警察組織に対し、他人の身元を確認するための問い合わせをしてきたり、身分保障に相当するさまざまな名目での証明書の発行を求めてくるといった風潮が広がっていることを指摘。警察組織がその問い合わせの多さに音をあげている実態を報告している。

 その上で、最近実際に起きた事件としてタイトルに描かれたケースを紹介している。

 騒動は山東省から南部に出稼ぎに行っていた息子が美人の女友達を連れて帰ってきたことから始まったという。

 息子の母は、その女友達が「あまりにも美人過ぎること」にまず違和感を覚えたというが、そのほか化粧が派手であったり、寒い冬でも短いスカートをはくなど、自分たちの常識では理解できない行動が度重なると、ついには「この娘はきっと、人に言えないような仕事をしてきたに違いない」と疑うようになったというのだ。

 そして母親はある日、意を決して息子に女友達の過去について尋ねたが、息子はのらりくらりとはぐらかすばかりで要領を得ない。母の疑惑は深まるばかり、悩んだあげく息子に彼女と別れるように迫るのだが、この母の態度に息子が逆切れ。反対するなら「南部に戻って勝手に結婚する」と言い出した。

 困った母親が駆け込んだのが近場の派出所で、母はそこで「彼女がきちんとした仕事についていたという証明書を出してくれ」と迫ったというのだ。

 もちろん警察はそんな証明書は出さない。個人情報の照会もできないとして断ったという話だ。

 だがいまの中国では、この話を笑い飛ばせないほど類似の話が多く、なかでも企業から問い合わせが多いという。そして記事は、これは社会がみな自己の責任を回避するために起きている現象だと解説している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン