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山口組分裂で注目 最強の武闘派組織「山健組」の歴史

なぜ山健組の分裂に注目が集まるのか?

 4月30日、六代目山口組を飛び出して発足した神戸山口組から、山健組の傘下だった約30団体が脱退「任侠団体山口組」を旗揚げした。今回の分裂劇は、神戸山口組の中核団体である山健組が割れたことに衝撃が走った。山健組といえば、かつて〈山健にあらずんば、山口組にあらず〉とまで言われた最強の武闘派組織である。

 三代目山口組・田岡一雄組長の秘書兼ボディガードを務めていた山本健一氏が山健組を結成したのは1961年のこと。山本氏は田岡組長の寵愛を受け、1971年には三代目山口組の若頭に就任。それ以来、山健組は山口組抗争の先頭に立ち続けた。

 特に有名なのが、大阪・松田組との「大阪戦争」だ。1978年、田岡組長が京都のクラブ「ベラミ」で松田組系組員から銃撃されたことで、山本氏の怒りが爆発。保釈中の身でありながら、松田組に対し容赦のない攻撃指令を出した。渡辺芳則・健竜会会長ら山健組の幹部が、松田組系組員を次々と銃撃。渡辺会長の子分だった井上邦雄・健竜会理事長補佐は、和歌山市内で2人を射殺した事件の首謀者として、懲役17年の服役生活を送った。

 こうした“戦績”から山本氏は田岡組長の後の四代目山口組を継ぐと目されていたが、1981年に田岡組長が逝去すると後を追うように翌年、肝臓疾患で病死。しかし残された山健組幹部らは山口組の主要ポストを占め、山健組を継いだ渡辺氏は五代目山口組組長まで上り詰めた。

 ところが、渡辺氏の引退後、弘道会出身の司忍組長が六代目を継ぐと、弘道会が山口組の中で山健組を凌ぐ影響力を持ち始める。山健組を継いだ井上氏はそうした状況に不満を抱き山口組を離脱、神戸山口組を結成した。

※週刊ポスト2017年5月19日号

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