例えば2011年8月、韓国・ソウル中央地方検察庁は、北朝鮮の工作機関「225局」の指示で地下組織「旺載山(ワンジェサン)」を立ち上げ、諜報活動に従事した5人の韓国人を国家保安法違反で起訴している。
乱数放送の再開が、こうした失敗に学んでのものであることは確実だ。
そこで流される暗号が何を意味し、誰が受信しているかはいまだ謎だが、韓国の大統領選にからむ指令が含まれていたとしても、何ら不思議はないだろう。北の老獪な工作活動が、韓国社会を内から瓦解させようとしている。
●李策(り・ちぇく)/1972年生まれ。朝鮮大学校卒。日本の裏経済、ヤクザ社会に精通。現在は、北朝鮮専門サイト「デイリーNKジャパン」などを足場に、朝鮮半島関連の取材を精力的に行っている。
※SAPIO2017年6月号