去年、初孫である女の子が生まれた。これからの人生をどう生きるのか。
「年齢を意識しないわけじゃないですよ。トシなんだから、あんまりド派手な服は着ちゃ駄目だとかね。ただ、生き方はこれからも変わらないと思いますよ。下手に目標や夢を持つと、義務感や使命感でそこに向かわないといけなくなってくるから、そういうものは持たない。自然体でいて、来るものを拒まず、来たものを一生懸命やる。それでいいんじゃないですか」
行きつけの居酒屋でのインタビューが終わると、顔馴染みの常連客との飲み会に突入し、それは夜が更けるまで続いた。その分け隔てのなさ、親しみやすさこそが、なぎらの魅力である。
●なぎら・けんいち/1952年、東京都生まれ。フォークソングに傾倒し、1972年にアルバム『万年床』でデビュー。以後歌手としてライブ活動を行なう他、俳優としてドラマや映画、タレントとしてラジオやバラエティ番組に出演。また、『下町小僧』、『東京酒場漂流記』(共にちくま文庫)など下町や酒場をテーマにした書を数多く執筆している。現在、『ごごナマ』(NHK総合、月~金13時5分~)の木曜日にレギュラー出演するほか、『月刊日本カメラ』で写真付きエッセイ「町の残像」、『月刊デジタルカメラマガジン』で「酒場の情景」、『東京スポーツ新聞』水曜日にコラム「オヤジの寝言」を連載中。
■撮影/吉場正和 ■取材・文/鈴木洋史
※週刊ポスト2017年5月19日号