翌日の5月8日、淡路島にある神戸山口組本部では、分裂後初めての定例会が開かれた。井上邦雄組長が登場すると、カメラのフラッシュが一斉に焚かれた。一方で任侠団体山口組の記者会見に出ていたはずの組長が、この定例会で姿を目撃され、動揺が走った。
その翌日、今度は神戸市の篠原本町で、六代目山口組の定例会が開催された。思ったよりも報道陣が少ない。というのも、同じ神戸市内で、神戸山口組の中核団体、山健組の寄合(会合)があったためで、NHKはすべてのカメラを山健組前に集結させたという。そのカメラは、任侠団体山口組に加入したはずの組長2人が揃って歩いている姿を捉えたという。
「山健組は幹部・組員に猶予期間を与え、その間に戻って来た人間を不問にすると打ち出している。針のむしろだろうが効果はあった」(警察関係者)
山口組の分裂劇は、下世話な好奇心をかき立てる格好の素材になっている。
●取材・文/鈴木智彦(フリーライター)
※週刊ポスト2017年5月26日号