瞑想の方法はいたって簡単。以下の3つのステップで実践できる。
【1.調身=姿勢を整える】
瞑想は椅子に座って実践できる。無理にあぐらや蓮華座を組む必要はない。
「椅子に座るときは、両足の裏が床につくように腰かけ、おへその下に力をいれるよう意識しましょう。肩が前方に出ていると肺が圧迫されて呼吸が浅くなってしまうので、肩をいったん持ち上げて、背中の方に回し下げてから力を抜きましょう」(西本さん)。
※瞑想というと、あぐらをイメージしがちだが、ポイントは、おへその下に力をいれて背筋を伸ばし、肩を後ろに回し下げて胸を開くこと。
【2.調息=呼吸を整える】
3秒くらいかけて鼻から息を吸い、5~10秒くらいかけてゆっくりと口や鼻から息を吐く。ゆっくりとした呼吸と、息を吸うよりも吐く時間を長くすることによって、副交感神経優位の時間を長くし、緊張状態を緩めることができる。
「姿勢を正し、おへその下を意識してお腹をへこませながらも、息は止めずに呼吸は深くしましょう」(西本さん)。
【3.調心=心を整える】
脳内で自然にわき起こる拡散思考に気づく。呼吸とは別のことを考えてしまうなど、拡散思考が起こってきたら、自分の注意がそれたことに気づき、ゆるやかに呼吸に意識を戻す。これを繰り返す。
「いわゆる瞑想の効果を目指したトレーニングでは1日15~20分程度のトレーニングが多いのですが、まずは姿勢と呼吸を意識し、1日に5分でもいいから瞑想してみようという研究者もいます。5分の時間もとれないという人は、細切れの“瞬間瞑想”でもいいので、食事や読書など今すでにある習慣をきっかけにして姿勢と呼吸を意識してみてください」(西本さん)
マインドフルネスの効果として大きいのは、ストレスの軽減といわれているが、実践し続けると、脳には大きな刺激が加わり、さまざまな変化が起きる。
「脳の前頭前皮質が活性化するため、集中力が高まります。また、海馬まわりの細胞の密度が高くなったという報告があり、記憶力の向上も研究されています。うつ病の再発を防ぐ効果も期待され、うつ病再発防止では薬をのんだ場合と同程度の効果というデータもあるんです」(西本さん)
感情をコントロールできるようになり、人間関係が改善し、身体的にも腰痛、肩こりなどの痛みの緩和など、人それぞれだが、ポジティブな効果が見られるという。