国内

日本でも増加する無痛分娩、知っておくべき利点とリスク

変わりつつある日本の出産事情(写真/アフロ)

 鼻からスイカが出てくる、背中をダンプローラーでひかれる、生理痛の1000倍…出産時の痛みを例える仰々しいフレーズに、妊婦は戦慄しながらその日を待つ…というのは、過去の光景となるかもしれない。

 欧米で一般的な「無痛分娩」が、日本でも加速度的に普及している。だが、痛みのない出産には利点とリスクが併存していた。

「お産の最中は腰から下がぼんやりとした感覚で、施術はあっという間に終わりました。痛みはなく、途中で少しウトウトしちゃったくらい(笑い)。初産の時は激痛で失神寸前だったので、あまりの落差に驚きました。初産のかたにも絶対“無痛”がおすすめです」

 4月初旬に都内の病院で第二子を出産したA子さん(32才)が振り返る。彼女が選んだ出産は「無痛分娩」だった。東京マザーズクリニック院長の林聡先生が解説する。

「文字通り、お産の時の陣痛を和らげて痛みを伴わないようにする出産方法です。背中の脊髄の外にある『硬膜外腔』という空間に細いチューブを挿入して、麻酔薬を注入する方法が主流です。部分麻酔で下半身の痛みがなくなるのです」

 欧米では全出産者の6割を超えるほどポピュラーなこの分娩法は、近年日本でも増加している。2008年の厚生労働省の全国調査では出産全体のわずか2.6%だった無痛分娩だが、現在は実施施設の増加もあり、「都心部では全出産の10%を超える」(ある産婦人科院長)という。

 実際、順天堂医院(東京都文京区)では、帝王切開ではなく経腟分娩した妊婦の8割が無痛分娩を選んでいる。芸能界でも中山美穂(47才)、釈由美子(38才)、小倉優子(33才)、東尾理子(41才)らが無痛分娩で出産した。

 2015年5月にはイギリスのキャサリン妃が出産からおよそ10時間で退院して話題となった。公式発表はないが、無痛分娩を行ったと指摘されている。林先生は、「母体保護の面からも無痛分娩のメリットは大きい」と指摘する。

「無痛分娩は母体の負担が軽いため産後の回復が早くなります。私の病院では母乳のケアや赤ちゃんの黄疸チェックがあるので4日間ほど入院していただきますが、海外では1泊2日の退院も珍しくありません」

 持病などで出産にリスクを抱える女性にも適している。

関連記事

トピックス

和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン