その後GIレースの数も増え、その位置付けが変化してきました。3月末に多彩な距離が同日に行なわれ賞金も高額なドバイがあり、翌週はGIに昇格した2000メートルの大阪杯がある。牝馬にはヴィクトリアマイルというレースができた。それらを経て多彩なメンバーが安田記念を目標にするようになりました。牡馬の場合、2000メートル以上のGIに加えて、東京マイルGIを勝つことで、種牡馬になったときの大きなアドバンテージにもなります。
ここ10年の勝ち馬の父を見てもマイル血統といえるのは、エアジハードとローエングリンぐらい。SS系3頭を含むその他の父馬はいずれも2400メートル以上のGIを勝っており、幅広い距離のレースで闘う産駒を送り出しています。
●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。2000年に調教師免許取得、2001年に開業。以後15年で中央GI勝利数23は歴代3位、現役では2位。5月21日終了時点での連続勝利13週は日本記録を更新中。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、など。『競馬感性の法則』(小学館新書)が好評発売中。
※週刊ポスト2017年6月9日号