政権からのカウンター攻撃は国会で追及する民進党にも向けられる。「加計学園への獣医学部認可の規制緩和は鳩山内閣が推進した」(菅義偉官房長官)といった、いわゆるブーメランだ。『自民党──「一強」の実像』の著者で政治学者の中北浩爾・一橋大学大学院社会学研究科教授が語る。
「安倍首相は批判や攻撃を受けると、民主党もやっていたと蒸し返す。森友問題では偽メール事件がどうとか、加計問題なら鳩山内閣も動いたとか、それで相討ちになれば自民党が勝つ。それというのも、両者の力関係、国民の支持を比べると、いわば自民党がジャイアンで民進党はドラえもんのいないのび太なんです。しかも、ジャイアンには公明党や大メディアというスネ夫が味方に付いている。相討ちになれば、その後、ジャイアンの方が有利になるという計算でしょう」
こうして安倍政権は自分の有利になる「空気」をつくり出していく。
※週刊ポスト2017年6月16日号