国内

介護業界の生き地獄 貧困現場と豪遊上層部の絶望的な格差

介護を取り巻く問題は尽きない

 2025年の日本は、団塊の世代が後期高齢者となり、国民の5人に1人が75歳以上という、これまで人類が経験したことのない超・超高齢社会が到来する。その一方で介護職は100万人足りなくなるともいわれている。少子高齢化の影響により、有効求人倍率は都道府県によっては4倍弱の超売り手市場のため、重労働・低賃金のイメージが強い介護職には人が集まらず、その傾向は今後も続くだろう。そうなった場合、いうまでもなく社会は大混乱する。『絶望の超高齢社会 介護業界の生き地獄』(小学館新書)を上梓したノンフィクションライターの中村淳彦氏に現代の問題点と、未来像について話を聞いた。

 * * *
──介護というと低賃金・重労働というイメージが染みついている。

「2000年に介護保険制度ができて、民間企業がどっと介護業界に参入するようになってからおかしくなりました。それまでは公務員や準公務員らの仕事だったのが、規制緩和の元、有象無象の企業が参入して、自社の利益を上げるために低賃金・長時間労働で働かせるようになった。毎日終電近くまで働く激務でも賃金は生活保護程度というケースも少なくない」

──そこまで酷いと生活するのもままならない。

「2015年に介護報酬の大幅な引き下げがありました。ただでさえ低賃金なのに、さらに報酬が減らされた。まともにやっていけるわけがなく、普通に働いても普通の生活ができない女性介護職たちの売春が激増しています。風俗嬢との掛け持ちは、もはや当たり前で“パパ”を見つけて援助してもらっている女性介護職も山のようにいる。その実態を多くの介護関係者たちは否定するけど、事実を言ったら差別されるので、本人たちが事実を話すわけがないです」

──劣悪な労働条件で働いていると精神を壊す人も多いはずですね。

「精神疾患で壊れ、離職を余儀なくされる介護職たちは枚挙にいとまがない。どこの施設にもいる。離職して逃げることができれば、まだマシな方で、モンスター家族に追い詰められて、暴力に走ったりするのは日常茶飯事。入居者を虐待、最悪殺してしまうという陰惨な事件も多発しています」

──一部の介護関係者が集まり、異常な性行為が行われていることには驚きました。

「都内に異常性欲者のたまり場があるのですが、男性、女性ともに介護関係者だらけ。たまり場の経営者に『介護の人ばかり、いったいどうなっているのか?』と逆に質問されるような状態です。ここではとても言えない変態行為が店内で公然と行われていました。客の女性介護職たちはストレスだけでなく、貧困も抱える。なので、生活のために買春相手を斡旋してもらっていました」

──そこまで酷いとは信じられないですね。

「私は介護事業所を7年運営した経験があります。覚せい剤中毒の女性介護福祉士がいたり、認知症女性の入浴介助に興奮する中年童貞がいたりと散々でしたよ」

──働く職員だけではなく、業界上層部の中にもとんでもない人が多いことが書かれていました。

「本書では若手ベンチャー経営者が主催する介護業界の洗脳の祭典を潜入取材しましたが、若者たちを『やりがい』などといった美辞麗句で洗脳し、徹底的に安くこき使い、壊れたらポイ捨てといったビジネスモデルが確立されています。さらに先日内部関係者から告発があり、その洗脳駆使したブラック経営するある業界上層部は全国各地に愛人が十数人いて、温泉街で介護経営者仲間と乱交など繰り返し、豪遊三昧だそうです。彼ら元々は純粋に介護を志した女っ気のない真面目な青年だったらしく、高校デビューどころか、ブラック経営者デビューして狂ってしまった。貧困に苦しむ現場職員と、遅咲き豪遊上層部の格差は見ていられない領域となっています」

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン