全力で仕事に打ち込んでいるのはわかるけど、やはり家庭の時間は少ないですよ。大事な時に、主人はいない。決定的だったのは東日本大震災の時。主人は中国に行って不在だった。長男の所在がわからなくて、本当に心配した。ようやく息子が帰って、やれやれと思っている時に、主人も帰宅した。最初に発した言葉が「こういう緊急時に私は国のために働かないといけない。きみたちは自分たちで生き残ってくれ」。

 他の皆さんが家族の絆が深まったと言っている時に、サラリとね。呆れちゃって、「この夫なしに、私はちゃんと生きていけますから」と内心毒づきました。

◆「主人を見直した」

 でも続きがあるんです。その後、イライラしながら主人の横でテレビを見ていると、福島原発が映っていた。水素爆発を起こす前の段階です。突然、主人は「今、海水入れないとあぶない。なぜ入れない!」と声を荒らげた。正直、私は意味がわかっていなかった。

 でも、そのあと実際に爆発が起こり、海水注入という運びになったとき、「この人は、国のために働くべき人なんだな」とストンと落ちた。福島で大変ご苦労されているかたがいる。そのかたがたを助けるために生きるのが主人かもしれない、と思い直しました。

 そして昨年、バッシングが激しくなって、心身共につらい時のこと。主人を見直しました。記者会見で「子供のことを考えると辞めたいが(都政の混乱を思うとまだ辞められない)」と涙を流した。

 野党のかたには、「子供を利用してまで知事を続けたいのか」と非難されましたけど、主人は“嘘泣き”できる人ではない。私は、「あっ、子供のことを考えてくれていたんだ」と初めて、本当にわかったんです。

 そうそう、騒動の渦中で、娘の友達たちが、うちに遊びに来てくれたことがありました。その時に主人、すごく嬉しくなっちゃったみたいで「おれが料理作るから、これとこれを買ってきて」と。これ見よがしにフランス留学時代のレシピまで出してくる(笑い)。自分で肉を焼いては味付けも3種類。こっちはみそで、こっちはワイン煮込みで…と張り切っていました。

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