◆山あいの過疎地でドローンを使った宅配サービスも
移動販売以外でも、買い物難民救済の網の目は広がる。目立つのは「宅配」の強化である。イトーヨーカドーやイオンなど大手スーパーはネットスーパーを充実させ、最短3時間といった短時間で商品を配送する。
コンビニ最大手のセブン-イレブンは、買い物難民に対して商品を自宅に配達するサービスに力を入れるほか、郊外の団地内に出店した店舗では電球交換や水道トラブル対処などの生活支援サービスに軸を置く。
同社の元会長、鈴木敏文氏は、2000年代初頭から口癖のようにこう言っていたという。
「これからのコンビニは御用聞きの時代になる」
国が力を入れるのは、小型無人機の「ドローン」。国土交通省は長野県の山あいの過疎地でドローンを使った宅配サービスの実験を始めた。
同様の実験は他の自治体でも行われており、愛媛県今治市ではネット通販大手の楽天がドローンによる配送実験に乗り出している。
他にも買い物代行や乗り合いタクシーの充実などが進むが、前出の杉田教授は「問題解決には市民の協力が欠かせない」と指摘する。
「移動販売もその他のサービスも、高齢者が利用するだけでは経営的になかなか成り立たず、財政難の自治体がお金をかけるのも難しい。必要なのは、市民が安さや便利さばかり追求せず、高齢者をおもんぱかって地域における買い物行動を見直すことです。
例えば5回に1度は地域の商店や移動販売を利用するなど、ちょっとした心がけを持つようにすれば、それが地域全体の発展に結びつき、ひいては買い物難民を救うことにつながると思います」
すべては私たち1人1人の行動にかかっている。
※女性セブン2017年6月22日号