注意すべき飲み合わせが生まれやすいシーンはいくつかある。たとえば精神科系で処方される薬だ。駅前の心療内科やクリニックが普及して高齢うつなども増加したことで、精神科系の医療機関を受診する人は少なくない。
「その一方で、他科を受診した際に精神科の薬を服用していることを伝えない患者が少なくありません。そのため、他科の医師が飲み合わせを考慮できず、相互作用のある薬を処方することがある。
たとえばうつ病で処方される『フルボキサミン』などは注意が必要です。この薬は代謝酵素CYPIA2の働きを阻害しますが、その酵素で代謝される睡眠薬・ラメルテオンと併用すると、ラメルテオンの血中濃度が上がりすぎて問題になります」(堀氏)
もちろんこの2剤も併用禁忌とされるが、前述したように、患者の自己申告がなければ見過ごされる危険性がある。
広範囲にわたって別の薬との飲み合わせに注意すべき薬もある。一例が「クラリスロマイシン」や「エリスロマイシン」など「マクロライド系の抗生物質」だ。
これらは感染症や炎症などで幅広く用いられる一方、併用禁忌や併用注意の薬剤が多いことで知られる。