「睡眠薬として用いられるスボレキサントは、作用が著しく増強されるのでマクロライド系の抗生物質とは併用禁忌です。糖尿病薬として処方されるスルホニル尿素系血糖降下剤も併用すると効果が出すぎて低血糖になり、最悪の場合は意識障害を起こすリスクがある。この他にも抗凝固薬や抗不安薬などとも併用注意になっています」(堀氏)
リスクがあるのに添付文書に禁忌や注意が記載されないケースもある。「モキシフロキサシン」「シプロフロキサシン」など感染症治療などに使われるニューキノロン系抗生物質と、喘息治療に使われるフェニル酢酸系消炎鎮痛薬は、その一例だ。
「実は、モキシフロキサシンの添付文書には『フェニル酢酸系は併用注意(痙攣の恐れなど)』との記載がある一方、ピランテロールトリフェニル酢酸塩を含む吸入薬にはモキシフロキサシンなどについての注意が記載されていません。こうしたこともまれにあるのです」(堀氏)
※週刊ポスト2017年7月7日号