【達筆第一位】小泉純一郎「無信不立」(むしんふりゅう)
勢いがあり、線の切れの良さも抜群。明暗と強弱の付け方も鮮明で、「日本を良くするぞ!」という決意表明のようです。書道の「規則正しく綺麗に整えて書く」という基本からは離れていますが、非常に芸術性の高い作品。書の基礎をしっかり学んだ教養の高さを感じます。
【達筆第二位】宇野宗佑「春風貫鐵壁」(しゅんぷうてっぺきをつらぬく)
書道の基本に則ったとても美しい書です。芸術性の高い小泉さんに比べ、まるで書道のお手本のよう。ただ綺麗に整いすぎで、やや面白みに欠けています。おそらく几帳面で真面目な方なのでしょう。基本に忠実な印象ですが、本心はあまり人に見せない性格なのかもしれません。
【達筆第三位】小渕恵三「終始一誠意」(しゅうしいちせいい)
縦長の文字ですが、とても美しくまとまっています。小渕さんの書は文字に明暗、強弱がほとんどありませんが、とても温かみのある優しい文字になっています。多少なりとも書を学んでおられたのでしょう。作品からは大らかな性格の持ち主だったことが感じられます。
●なりた・ますみ/東京都生まれ。小学校1年生より書道を始め、19歳で師範資格を取得。書道教室眞和会主宰。第44回國際書道連盟展「特選賞」のほか受賞歴多数。女性らしいアート書道から豪快なパフォーマンス書道まで幅広く活動。大手企業の商品・タイトルロゴ(筆文字作品)も多数手掛けている。
※SAPIO2017年7月号