「家事なら風呂の掃除などが中強度の運動になりますが、シニアでもより簡単にできるのは速歩きです。ある程度の筋力を維持して歩行能力の低下を防ぐことにつながります。毎日の習慣にすれば、筋トレやジョギングといった特別なトレーニングは必要ない。
速歩きを心がけると自然に背筋が伸び腕も振れて、姿勢の改善にもつながります。“会話はできるけど歌を歌うのは難しい”という程度の歩き方が理想的です」
追跡調査を始めて以降、中之条町では中強度の運動が意識されるようになった。
「たとえば自宅の2階に寝室とトイレがある方が、わざわざ階段を降りて1階のトイレを使うようになった。田舎なので生活に車が欠かせませんが、住民の多くはお店の入り口から遠いところにあえて停車して、歩く距離を増やします。中之条町にあるスーパーの駐車場は店の遠くから埋まっていくんです」(青柳氏)
さらに、〈1日8000歩+中強度20分〉という水準を守るには、運動をやりすぎないこともカギとなる。