まず歩く「量」については、「1日8000歩」が目安となる。
「1日8000歩以上歩いても、健康増進や病気予防にはほとんど意味がないことがわかりました。歩く量が多いほど肥満解消の効果はありますが、体型に問題のない人は1日8000歩を目安とすべき。海外の研究では、運動量の多いアスリートほど免疫力が低下するという結果も出ています。適量の運動にとどめることは重要です」(青柳氏)
中之条研究で活動量計を用いて歩行の「質」のデータも収集された。その結果について青柳氏はこう解説する。
「健康科学では、身体活動の強度を『低』『中』『高』の3段階に分けます。強度が低すぎてもダメで、トライアスロンのように高すぎてもいけない。大切なのは“ほどほど”と思えるような『中程度の強度』の運動ということがわかりました」
青柳氏の研究によれば、中強度の運動は新陳代謝を活発にして心肺機能を強化するほか、体温を上げて免疫力を高め、自律神経の働きや血行をよくする効果もあるという。
青柳氏は中之条研究の5000の対象者を1日あたりの「歩数(量)」と「中強度運動の活動時間(質)」で分類し、それぞれのグループにおける様々な病気の有病率を調査。運動の量と質が「病気の予防」とどう関係するかを解析した。概要は以下のようなものだ。