この大会を開いたのは、「6・15共同宣言実践南側委員会(以下、南側委員会)」である。ちょうど17年前のこの日に韓国の金大中大統領と北朝鮮の金正日総書記が平壌で行った南北首脳会談で締結した「6・15南北共同宣言」の履行を求め、北朝鮮と共同で宣言を記念する行事を毎年開いてきた。だが、李明博・朴槿恵元大統領らの保守政権下では、これら行事の開催が認可されなかった。政権交代後、満を持しての開催だけに余計に熱を帯びる。
民主化運動の闘士だった李昌馥氏を常任代表に、韓国の労働団体や宗教団体、市民団体等から構成され、数多くの訪朝を重ね、中国の瀋陽でたびたび北朝鮮側と接触。韓国を代表する親北団体で、日韓の情報当局は対南工作を担う朝鮮労働党統一戦線部の強い影響下にあるとみている。
北朝鮮の工作活動といえば、工作員を使った拉致やテロばかりではない。平和的な統一運動に名を借りて韓国国内の団体に世論誘導を行わせ自らに有利な状況を作り出すのも常套手段だ。まさにそうした団体のひとつがソウル中心部で堂々と集会を開いていたのだ。
会場の大型モニターに、平壌の空港に降り立った金大中氏を金正日氏が迎える映像が流されると拍手が沸き起こった。一方、開城工業団地の閉鎖を発表する朴槿恵大統領の映像にはブーイングが浴びせられる。会場にみなぎる親北的な空気に違和感を覚えた。
北朝鮮やその影響下にある南側委員会がこの宣言を高く評価するのはなぜか。