韓国では民間団体が北と接触し訪朝するには、統一部の許可を得なくてはならない。保守政権の李明博政権以降、民間団体の渡航は厳しく制限されてきた。
大統領就任前から南北統一経済圏構想を掲げていた文政権は、青瓦台(大統領府)に北朝鮮に融和的なスタッフを招集し、さらには6月4日に民間団体の渡航に許可を出した。このため南側委員会は100人もの訪朝団で参加する計画を立てたが、開催場所を開城とするか平壌とするかで事前協議が難航した。そのため、準備が間に合わず南北合同での開催は見送り、次善の策として南側委員会単独で開かれたのが冒頭の集会である。
韓国紙記者はこの間の舞台裏をこう説明する。
「6月末の韓米首脳会談を前に平壌で南北合同の行事を開けば、国際的な対北圧力の足並みを乱したと米国から責められるのは必至でした。それを避けるため青瓦台が南側委員会に働きかけて訪朝を断念させました」
裏を返せば、首脳会談が終われば、一気に舵を切るであろうということ。南側委員会をはじめ親北団体は、文大統領の有力な支持基盤だ。新政権への影響力も強いゆえ、米国の横やりがあろうとも方向転換は困難だ。