──むしろ、そうなりたいくらい。
「なりたい、なりたい。それくらいの……。ただ、やっぱり最低限の泥臭い練習をやらないと無理です。例えばロケットが大気圏に突入して突き抜けるときは、物凄いエネルギーがいる。マラソンも誰もが驚愕するような練習をしなきゃ突き抜けられない。すぐ結果は出ないかも知れないけど、続けていれば1、2年後には必ずドカンと出ます。でも今、そんな練習をする選手はいない」
──最近の選手が距離を踏まない一番の理由はケガするのが怖いと。
「ケガって(苦笑)。だから、ケガしないような体作りをしなさい、と。長い距離を走ったり、練習の合間に歩いたり、補強を工夫したり、いろいろなことが必要になってくる。
そもそもケガしないことを前提に練習していること自体が考えられない。ケガして1年くらい悩んで、くそっと思って。それも突き抜けるために必要なことです。昔の選手はケガするかしないかぎりぎりのところでやっていた。いつからこうなっちゃったのか……本当、悩ましいよ」
──アフリカ勢に離されるばかりで。
「3年前に選手を連れてケニアのトレーニングキャンプに行ったんです。複数のチームが同じ場所で練習していて、朝になるともの凄い数の選手がうわーっと走ってくる。壮観ですよ。ただ練習内容に関しては驚くようなものはなかった。僕らが昔やっていたのと同じ練習をやっていたから」