国内

がん告知されても仕事を辞めず、生活を変えないことが大事

がんを告知されても仕事を続ける利点とは(写真/アフロ)

 年を重ねるにつれて、家族や親戚、友達ががんになったという話を聞く機会は増えていく。2人に1人が罹患する時代といわれて久しい。埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授で、がん患者と家族の精神的なケアを専門とする精神腫瘍科医の大西秀樹さんが、その日が来てしまった時のために、がんについて知っておくべきことについて解説する。

 * * *
 がんを告知されると、頭の中が真っ白で何も考えられなくなります。落ち込んで、食欲がなくなったり、眠れなくなったりするなど、1週間ほど日常生活に支障をきたします。その期間が過ぎると、だんだん冷静さを取り戻してきます。

 すると、自分は今後どうなるのか、家族や仕事などの不安がどっと押し寄せます。このときによく受ける相談が、仕事を辞めるべきかどうかです。私は、体が動くかたは仕事を続けるようにアドバイスをしています。なぜなら、一度、退職すると次の仕事に再就職しにくいからです。治療が一区切りついてから、再就職をしたくても難しいんです。

 がん治療は医療費がかかりますし、就労しているからこそ受けられる制度もあります。傷病手当金のほか、勤め先によって制度は変わりますので、確認するとよいでしょう。

 また、医療に関するお金の問題は、病院のソーシャルワーカーに相談することをおすすめします。全国のがん診療連携拠点病院に必ず設置されている「がん相談支援センター」は、通院している患者以外でも無料で相談できるので、こちらも利用してください。

 上司や同僚にがんと言いたくない、迷惑がかかるからという理由で仕事を辞めてしまうかたがいます。それはとても残念です。職場側が病気を理解して、支え合っていただきたいですね。

 仕事を続ける利点は、他にも“生活を変えない”ことにあります。がん中心の生活になってしまうと、滅入ってしまいます。今までの生活にがんが加わった、がんも生活の一部だととらえることが大事なのです。がんの状態によっては、長期間共存することになります。少しでも生活を変えないことが大事です。

 その上で、大事なのは、家族や周囲のサポートです。大事なのは、本人の話を聞くことと、傍にいることだといわれています。精神的なケアは、家族の大切な役割です。

 サポートをする側の注意点としては、「頑張って」と励ますのは基本的にNGです。本人は既に精一杯頑張っていますから。

※女性セブン2017年7月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン