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「余命半年」と告知された人の命を延ばした「魔法の言葉」

日本在宅ホスピス協会会長の小笠原文雄さん

 小林麻央さんが最期に選んだ在宅医療──そこには病院に欠けている、得がたい体験があるという。訪問看護師として在宅医療に取り組み、「市ヶ谷のマザーテレサ」と呼ばれる秋山正子さんと、新著『なんとめでたいご臨終』が発売早々重版した日本在宅ホスピス協会会長の小笠原文雄さんが、在宅医療について語り合った。

『なんとめでたいご臨終』には、小笠原さんや看護師など医療従事者が、家族や夢の話、さらには家計のことまで、まるで親しい友人のように患者やその家族と話す様子が描かれている。そうした光景は病院では見られないものだろう。しかし、2人はそうした時間こそが重要だと声を揃えた。

小笠原:病院などの外来は、よく3分診療と言われますが、ぼくたちの往診は短くて5分~15分、通常は15分~30分、長いと1時間、2時間になります。患者さんやご家族の話をじっくり聞いて、心を通わせ、暮らしの中でその患者さんを支える体制を作るのです。

秋山:訪問看護師は、初回はそのかたが今まで受けてきた医療について、時間をかけて話を聞きます。2回目以降もだいたい1時間~1時間半、話しながらケアをします。その間は完全に患者さんのための時間です。私たちがいない時も、何かあったら電話をくださいと言ってありますから、つながっている安心感はあると思います。

小笠原:ぼくは、在宅医療の主役は訪問看護師だと思っているんです。もちろん、ぼくら医師も初めて往診した時は何時間でも話を聞きます。患者さんやご家族が、在宅医療の不安がなくなり、ケアに納得されて笑顔になるまで帰りません。それが在宅ホスピス緩和ケアなんです。患者さんといったん心が通えば、次回からは5分、10分でも大丈夫です。それは病院では難しいことですよね。

秋山:病院では患者さんの側にも遠慮がありますよね。予約して長いこと待って、やっと自分の順番がきて、本当はあれもこれも聞きたい。でも、次の人が待っていると思うと、5つ用意した質問の3つくらいはのみ込んでしまう。そういうことが結構あるんです。

小笠原:よくわかります。

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