「もともと白鵬は横綱になった時点で“相撲界に恩返しするために、将来は部屋を持って弟子を育てたい”という夢があった。ただ、同時に“日本人よりも相撲をよく知っている”という思いと、後進のためにくさびを打ち込みたいという考えから、モンゴル国籍のまま親方になりたいという希望も強く持っていた」(担当記者)
年寄株を持つ親方になるには、最高位が小結以上、幕内在位通算20場所以上、関取(十両以上)通算30場所以上のいずれかを満たした上で、「日本国籍を有する者」が条件となる。白鵬は来日10年となった2011年には日本の永住権を取得しているが、国籍は変更していない。
「白鵬が考えたのは、著しい功績を挙げた横綱だけに認められる『一代年寄』であれば、特例としてモンゴル国籍での襲名が認められるのではないかという道です」(同前)
現役の四股名をそのまま名跡とする「一代年寄」は大鵬、北の湖、貴乃花という大横綱にのみ認められてきた。「幕内最高優勝20回以上」が襲名を認められる目安とされる。もちろん、成績の上では白鵬にもその資格がある。
だが、たとえ一代年寄であっても、“国籍条項”の特例は認められないという姿勢を協会が崩すことはなかった。
本誌・週刊ポストは2015年3月の大阪場所中、生前の北の湖理事長(当時)にこの問題を直撃している。「白鵬はモンゴル国籍のままでは一代年寄を襲名できないのか?」の問いに、北の湖理事長はこう応じている。