ライフ

【書評】香山リカ氏も感心する「悪」の働きの抑え方

【書評】『悪の正体 修羅場からのサバイバル護身論』/佐藤優・著/朝日新書/780円+税

【評者】香山リカ(精神科医)

 現代社会を生き延びるためには、「悪魔」の存在に敏感にならなければならない。本書の著者は繰り返しそう言う。「悪魔? なんだオカルトの世界の話か」と思ってはいけない。著者が言う「悪魔」とは「悪が人格化したもの」であり、それは今も存在する。それどころか「権力とカネをめぐる腐敗の構造、すなわち悪の構造は、時代を経ても変わらない」中、「悪魔」は今ますますその動きを活発化させているようだ。

 もちろん、私たちのような小人物がいきなり「悪魔」になるわけではないようだが、著者によると、悪は誰の中にも潜んでおり、いったん悪にとり憑かれると「個人的な活動の限界も、個人的な責任の限界も越える」という性質がある。たしかに「どうしてあの人が」というような善良そうな人が、ある状況や組織の中に置かれると、あっと驚くような不正や悪事を働いてしまう例も少なくない。

 では、私たちはどうやって「悪魔」から身を守り、自らもそうならないようにすればよいのか。著者は聖書や神学書、『闇金ウシジマくん』などのマンガや小説までを縦横無尽に引きながら、この世の中にある悪に対して感度を上げていくためのコツを教えてくれる。

「悪魔のささやきに反応するかしないかは人間次第」「受けるよりは与える方が幸い」「生き残るために、弁論や議論の技術を磨く」「他人を手段として使わず、誠実につきあう」「直観というふしぎな力を働かせる」「斜めから見たり、裏返したりしてみる」

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン