「我々は未払い賃金を受け取りたい、それだけです。補償金や慰労金などは求めていない」
そう“正当性”を主張するが、行動は推進委より強硬だ。徴用工への未払い賃金の支払いに応じない日本の「戦犯企業」のうち、韓国国内に拠点を持つ企業には、数百人規模でデモ活動を行なっている。
その場では、安倍首相をかたどった人形の首に縄を括り付けるなどの過激なパフォーマンスが行なわれていた。
◆「大統領は動いてくれる」
彼らの計画通りなら8月中に像が相次いで韓国各地に設置される予定だが、現地を取材すると、自治体からの許可が下りなかったり、像の制作の遅延などで、スケジュール通りには進んでいないことが分かった。
それにしても、なぜここにきて彼らの活動が活発化しているのか。5月に就任した文在寅大統領は、労働組合を有力な支持母体としている。徴用工像設置を目指す団体はほとんどが労組が中心となって組織されている。とくに韓国二大労組を母体とする推進委の活動は無下にできないだろうと見られており、一方の連合会の張氏もこう言う。
「先の大統領選で我々は徹底的に文氏を支持した。文氏もきっと我々のために積極的に動いてくれるはず。もし政府が像の設置に許可を出さなければ、デモなどの実力行使も辞さない」
文政権の“支援”を確信する言い方だった。だが徴用工問題にしても慰安婦問題と同じく日本が対応する道理はない。